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当期は利益が出たので、決算賞与を払って従業員に還元したい、そんな時があるかと思います。
賞与は原則的には支払日の属する事業年度で損金として認識しますが、一定の要件を満たせば決算に織り込むことができます。
このページでは、使用人の決算賞与の損金算入時期について記載しますので、ご一読いただけますと幸いです。
更新日 2020年12月24日
✔ 決算賞与に関する条文
✔ 実際の注意点
✔ 特殊なケース
賞与は原則として、支払日の属する事業年度の損金となります。
ここでいう賞与とは使用人賞与を指しています(以下、このページで同じ)。
しかしながら、一定の要件を満たせば、支払日より前の決算に賞与を織り込むことも可能です。
当期は利益が出そうなので、決算賞与で従業員に還元したいなどとお考えでしたら、検討されてみるのもいいかと思います。
条文としては、法人税法施行令72の3に規定されています。
(使用人賞与の損金算入時期)
第72条の3 内国法人がその使用人に対して賞与(給与(債務の免除による利益その他の経済的な利益を含む。)のうち臨時的なもの(退職給与、他に定期の給与を受けていない者に対し継続して毎年所定の時期に定額を支給する旨の定めに基づいて支給されるもの、法第54条第1項(譲渡制限付株式を対価とする費用の帰属事業年度の特例)に規定する特定譲渡制限付株式又は承継譲渡制限付株式によるもの及び法第54条の2第1項(新株予約権を対価とする費用の帰属事業年度の特例等)に規定する特定新株予約権又は承継新株予約権によるものを除く。)をいう。以下この条において同じ。)を支給する場合(法第34条第6項(役員給与の損金不算入)に規定する使用人としての職務を有する役員に対して当該職務に対する賞与を支給する場合を含む。)には、これらの賞与の額について、次の各号に掲げる賞与の区分に応じ当該各号に定める事業年度において支給されたものとして、その内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する。
一 労働協約又は就業規則により定められる支給予定日が到来している賞与(使用人にその支給額の通知がされているもので、かつ、当該支給予定日又は当該通知をした日の属する事業年度においてその支給額につき損金経理をしているものに限る。) 当該支給予定日又は当該通知をした日のいずれか遅い日の属する事業年度
二 次に掲げる要件の全てを満たす賞与 使用人にその支給額の通知をした日の属する事業年度
イ その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受ける全ての使用人に対して通知をしていること。
ロ イの通知をした金額を当該通知をした全ての使用人に対し当該通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から一月以内に支払つていること。
ハ その支給額につきイの通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること。
三 前二号に掲げる賞与以外の賞与 当該賞与が支払われた日の属する事業年度
今回は「決算賞与を払いたい」という題目ですので、1項についてはご説明を省略させていただきます。
上記でお話させていただいた賞与の原則的な損金算入時期は、3項の「当該賞与が支払われた日の属する事業年度」とされます。
つまり、原則は払った日に損金となるとご認識いただければ問題ありません。
ここで2項を見てみますと、原則とは異なる取り扱いをすることがお分かりになるかと思います。
簡単にまとめますと、次の3要件をすべて満たせば、支払日ではなく通知日の属する事業年度の損金となります。
①支給額を各人別に、支給する全使用人に通知する
②通知した全員に通知した金額を決算日から1カ月以内に支払う
③通知日の属する事業年度に損金経理(未払計上)する
この賞与に関しては、実際の支払日より前の事業年度の決算に織り込む場合に適用される規定ですが、要件を満たさなければ、原則に戻るため、支払日の属する事業年度の損金となります。
つまり、要件を満たすことが非常に重要となります。
なお、要件については、法人税基本通達9-2-43~44に書かれています。
法人税基本通達9-2-43
法人が支給日に在職する使用人のみに賞与を支給することとしている場合のその支給額の通知は、令第72条の3第2号イの支給額の通知には該当しないことに留意する。
賞与支払日前までに退職した者に通知額を支払わなかったり、退職した場合には賞与を支払わないとしていた場合でも3要件を満たさずに、未払賞与の総額(全員分)が原則の支払日の属する事業年度の損金となるので、注意が必要です。
法人税基本通達9-2-44
法人が、その使用人に対する賞与の支給について、いわゆるパートタイマー又は臨時雇い等の身分で雇用している者(雇用関係が継続的なものであって、他の使用人と同様に賞与の支給の対象としている者を除く。)とその他の使用人を区分している場合には、その区分ごとに、令第72条の3第2号イの支給額の通知を行ったかどうかを判定することができるものとする。
パートタイマー等については、金額が小さかったり、支給するかどうかわからなかったりするので、パートタイマー等とその他の使用人を分けて考えることができる旨が書かれています。
ただし、パートタイマーが継続雇用関係でその他の使用人と同様の賞与の支給対象となっている場合には、その他の使用人と同様に判定する必要があります。
以前、12月決算の法人がこの規定を適用して決算賞与を支払うといった場面に出くわしたことがありました。
なにが特殊かというと、例えば今年の12月に通知をして未払計上して、来年1月に支払ったとします。
会社で損金となるのは令和2年の事業年度となります。
一方、支給を受ける使用人側では、通知を受けた年の所得ではなく、実際に支給を受ける令和3年の所得となりますので、法人が損金経理した事業年度と使用人が所得として認識する年に1年のズレが生じます。
とても不思議な感じがしますね。
・決算賞与は、通知日に損金算入できる場合もあることがお分かりいただけたかと思います。
・決算賞与を支払う場合には、通知した事実などを証する書面などを保存しておいた方が良いと考えられます。
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